アーリーリタイアしたお殿様、伊達綱宗絵描きになる!
伊達といえば、やはり伊達政宗。ドラマからアニメ、漫画、ゲームまで主役級の扱いをされる歴史上の偉人です。
これほど現代でも影響力の持った伊達政宗ですが、私が今最も気になるのは彼の孫、伊達家三代藩主、伊達綱宗。
何故偉大なる政宗ではなく名前も聞いたことのない孫に関心があるかというと去年の夏、仙台の瑞鳳殿を見に行った際、彼は絵描きになっていたことを知ったからです。
瑞鳳殿
初代政宗から三代綱宗まで伊達家三代を祀った霊廟です。
アクセスとしては循環バスるーぷる仙台が一番便利でしょう。一般は観覧料550円。
小高い丘の上、四方を森に囲まれた場所にあり、夏なのに少しひんやりした空気がしました。
綱宗が絵描きになった経緯
元々3代藩主として藩の期待を背負っていたのが、伊達光宗。以前松島で円通院を見に行った際に祀られていた人物です。
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しかし、光宗は藩主となる前に亡くなってしまい白羽の矢が立ったのが綱宗でした。
その綱宗、藩主になってわずか2年、21歳の時に藩主を下ろされ隠居してしまいます。
なぜ藩主を下ろされたのかというと諸説あり、酒に溺れ遊びまわっていたとか、権力闘争に巻き込まれたとか、江戸幕府の目を欺くためにバカを演じていたなどなど。
そして江戸幕府によって強制的にアーリーリタイアさせられた彼は芸術の道に進むのです。
綱宗が隠居していた東京大井町
殿様が絵を描いていましたということだけであれば、私はこれほど興味を持たなかったのですが、彼が隠居していたのは大井村、品川下屋敷。
今の東京の大井町です。
あれ?実家から近くない?伊達家のお殿様が絵描きになっていたことにも驚きましたが、仙台藩の領地が大井町にあるなんて全然知りませんでした。
その大井町にはいろいろと仙台藩の名残があるらしいので見てきました。
第一京浜、京浜急行線鮫洲駅と青物横丁駅のちょうど中間ぐらいで、JR大井町駅まで続く上り坂。「旧仙台坂」。
なぜ「旧」とついているかというともう一つ隣にある坂を改めて「仙台坂」という名前があてがわれたので、こちらが「旧仙台坂」になったのです。
別名「くらやみ坂」とも呼ばれています。
この周辺のマンションも仙台坂~という名前がついていたりします。全然気にしたこともありませんでした。
坂の途中には仙台藩当時からここに立っていたであろう「タブノキ」。
こうして自分が生まれ育った土地にかつて仙台のお殿様がいて、しかも絵描きをしていたなんてなかなかロマンのある話ではないでしょうか。
綱宗に対して親近感がわいてきます。
福島美術館
伊達綱宗の作品が実際に見ることのできる場所となると限られてくるかと思いますが、ひとつは仙台市博物館、もう一つは福島美術館(※2018年12月に閉館しました)です。
福島美術館は名前からすると福島県にある美術館かと思われますが、仙台にある美術館です。
場所は仙台市地下鉄南北線の愛宕橋駅と河原町駅のちょうど中間ぐらい。気を付けていないと通り過ぎてしまうような脇道にひっそりとあります。
外観もあまり美術館ぽくありません。というのも元は病院だったとか。
それほど大きくない美術館ですが、綱宗の作品を見ることのできる数少ない美術館。
名のある巨匠から手解きを受けていただけあって、手慣れた筆さばきの綱宗の作品を見ることができます。